JBL で Bach を...

JBL4343のマルチシステムの話題を中心に

音響測定系

 昔は音響測定などしないで、自分の耳だけを頼りにマルチアンプシステムを組み上げたツワモノがいたようだ。はっきり言って音響測定手段とデジタルプロセッサーを使わずにマルチアンプシステムを組み上げるのは「不可能です」と言いたい。マルチアンプシステムに挑戦し、苦労しながら虚しく敗北していった先人たちのなんと多いことでしょう。超人的な聴覚を持ち、自分の耳が満足すればいいのだ、という論理はまぁいいとして、常人ならば調整の迷宮に迷い込むことは必至だ。困難とされていたマルチアンプシステムが、現在では手の届くところまで来ていると思われる。その要因としては、まず優秀で使いやすいARTAのような音響計測ソフトウェアが入手できること。もう一つの要因としては、DCX2496などのデジタルプロセッサーが入手可能なことだ。クロスオーバーの調整時などに何が起こっているのかをPC上で即座に確認でき、デジタルプロセッサーをPC上からパラメータの調整に即座に反映することができる。

 デジタルプロセッサーの最も大きな利点のひとつはデジタルディレーによるタイムアライメント調整にあると思う。今では常識となったタイムアライメントだが、昔はあまり重要視されていなかったようだ。それこそ4343の時代では、タイムアライメントの考え方はなかったようで、4343のダイヤフラム及びコーンの物理的位置関係はバラバラだ。もちろんマルチスピーカーで各ユニットの物理的位置関係をばらばらにずらしながら合わせ込むことは可能かもしれないが、DCX2496などでは2mmの分解能でリアルタイムにずらすことができる。

 測定系を紹介しよう。

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測定系

 測定用としてオーディオインターフェースは、UCA202を採用した。これは安価で光デジタル出力がついているからだ。PCで発振したテスト信号はUSB経由で入力される。再生されたテストトーンはマイク、マイクアンプを経てUCA202のアナログ入力(L)に戻る。ARTAが推奨するDual Channel Modeに対応するため、DCX2496の空きチャンネルからリファレンス信号としてアナログ入力(R)に戻した。

※ご注意:あとでUCA202が極性反転していることが発覚しました。