JBL4343ミッドバス逆相問題
ネットでよく見るJBL4343の記事によると、JBL4343がうまく鳴っているのを聴いたことがない、とかミッドバスのつながりが良くないとか、かつてオーディオブームだったころの人気商品だっただけに、いち4343ユーザーとしてなにか心苦しい思いだ。自分はマルチアンプ構成なので逆相問題は関係ないのだけれど、4343の商品としてのクォリティどうよ、というのが気になる。
なので真相はいったいどうなのか、ちょっと見てみようかという気になった。
クロスオーバーのJBL3143のLFとMFの部分の図だが、LFとMFのクロスオーバーは、320Hz くらいの周波数でクロスしLPF、HPFはともに2次のフィルターで構成されている。なのでそのまま電圧加算すると逆相になりディップを生じる。LTspiceでシミュレーションすると、
ここでミッドバス2121の極性を逆にすると
となり、まともになった。リップルがかなり出ているが、意図的かどうかはわからないが、ダンピングレシオζがかなり低い設定なのでかなりのイカリ肩特性になるためだ。
実際の音は、スピーカーを通るのでスピーカー自体の特性が加味されるため位相もシフトしてくるが、2231Aも2121もこのあたりのクロスオーバー領域ではフラットな特性であり、位相も0°付近にとどまるため、上の単純な電圧加算の結果から大きく乖離することはないだろう。
しかし、こんなに盛大にディップが出ていたら誰が聴いてもおかしいと思うのは明らかだ。もしこれで我慢して聴いている方がいたら極性を変えていただきたい。ただミッドバスのみを反転すると、HFの2420とのつながりが不整合になってしまうので、External Crossoverモードにして一緒にまとめて反転するのがいいかもしれない。